東京・美術展めぐり2畠山記念館「大名茶人 松平不昧の数寄」
11/6、2日目は気合を入れて早朝から行動をと考えておりましたが
そう、ここは東京。通勤ラッシュは避けなければ。
壁ドンされたくないし。
南北線白金台駅からのんびり散策しながら畠山記念館へとうちゃこ。
この辺りは坂が多いので私自身は垂直に立っているのですが
画面が水平でなくなってますね。
こちらは初めて訪れます。
ワクワクするアプローチ。
ツワブキの花が「いらっしゃい」と微笑んでいるよう。
何やらいろいろ、碑や石像があります。
「亀岡十勝の詩碑」
この地は、薩摩島津家が幕府より下げ渡され
後に亀山十勝と称した庭内に七言律詩の碑が建てられたそうです。
英文を読んだ方が意味が分かるという。(^_^;)
(怪しい人物が写りこんでいますが気にしないでください。)
で、肝心の詩碑は判読不明。
左が荏原製作所創設者の畠山一清さん。(号 即翁)
右は東京帝大在学中の恩師井口在屋先生。
荏原製作所の前身は井口先生が発明した井口式ポンプを販売する会社だったのですって。
即翁がこの地を手に入れたのは1937年(昭和12年)です。
樹齢250年(!)のモチノキ。
いろんな歴史を見てきたんだね。
樹齢100年の枝垂桜。立派です。
これは、春に訪れてみたいですね。
上ばかり見ていたら首筋を蚊に刺された!ぬかった!
(9月の京都で足首あたりをたくさん刺された跡がやっと治ったのに…)
適度に乱れ、適度に手入れされ、心が落ち着くお庭です。
木々の奥に茶室が見えます。
明月軒と翠庵。
浄楽亭と毘沙門堂。即翁書の扁額です。
苑内の茶室はレンタルできるそうです。
お庭から本館を望む。
そろそろ、中に入りましょう。
畠山記念館は、荏原製作所→ポンプ→水のくみあげ→茶、ということで
主に茶道具を多く所蔵しています。
即翁は、松江七代藩主で茶の湯を極めた松平不昧に傾倒し不昧の蒐集品の多くを収集。
開館50周年記念特別展としてその展示となりました。
私は茶道を正式には習ってはいないのですが
大好きな和菓子の勉強をするにつけ、お茶の世界観、道具類へと興味が深まりました。
展示室では茶室「省庵」が設えており、お茶をいただけるのですが、
あいにく外国人の団体さんが占拠していたのであきらめました。
彼らも熱心に観覧していましたが、
外国のかたに「宝物・大名物・中興名物・名物並・上」が分かるのか?
日本人でも分からんのだから無理だよね。
肩書があって「ほぉ~」と納得する若輩者の私。
ああ、数寄者にはほど遠い。
目利きを良くしたい。(それにはホンモノをたくさん見るしかない)
などと雑念いっぱいでしたが、観ているうちに作品に没頭しました。
なにより、千利休直筆の添状、小堀遠州直筆の箱書など震えがくる様な感動を覚えました。
不昧は蒐集するのみにとどまらず、格付けをし
伝来、入手年次、納入先、購入価格、相場値等も詳らかに記し残すという
後世の私たちにたいへんありがたい偉業を行ってくれました。
これが「雲州蔵帳」です。
伝来を知るとより一層、鑑賞が楽しくなります。
『唐物肩衝茶入 銘 油屋』→「これ、利休が秀吉にぃ!?」とか
『古瀬戸肩衝茶入 銘 円乗坊』→「信長もこの仕覆の組みひもをほどいたのかしら?」とか
妄想マックスです。
「即翁衆と愛玩す」の言葉どおり、
コレクションを独占するのではなく、ともに楽しむ気持ちが強く伝わりました。
畠山さん、ありがとうございます!
館内は自然光も多くとり入れられているのでぜひ午前中に行かれることをおすすめします。