■エンドウの思い出
幼い頃、母に
サヤエンドウのすじ取りを
必ず手伝わされました。
(「遠藤さんや遠藤君の思い出」ではありません。)
遊んでいようが宿題をやっていようが
台所から母がおいでおいでをして私を呼びます。
その度に食いしん坊の私は
(何か美味しいモノをもらえる)と思い
わぁーいと母のそばへ。
「はい、すじ取ってね」とサヤエンドウを渡されます。
がっかりはするものの
この作業が結構好きだったりもします。
写真は「スナップエンドウ」ですが、
サヤエンドウの下のでっぱりから
側面のすじをすぅーっと剥いて
ヘタをぽちっともいで
そのまま反対側のすじをすぅーっと。
「一筆書き」ならぬ「一すじ取り」
途中で切れないように丁寧に剥きます。
あれ?スナップエンドウは「一すじ取り」
できませんね。(^_^;)
そして、
蛇口をひねればお湯がすぐ出てくる時代では
ありません。
冬にはホウレンソウを茹でたお鍋に水を足し
「早くおいで~!」と幼い兄と私を呼びます。
翡翠色のお湯の中に四つの小さな手が揺らぎます。
しもやけになった小指がじーんとして
ホウレンソウの栄養が手に沁み込むような感じがしました。
エンドウのすじを取る度に
若い母の姿と、
翡翠色のお湯の中で揺らぐ兄と私の小さい手が
あいまって思い出されます。
鼻の奥がツンとしたのをごまかすように
ビールをゴクッと飲みました。
あ、母は健在です。