熊を彫る人 藤戸竹喜
札幌芸術の森美術館
「木彫家 藤戸竹喜の世界」へ行ってきました。
藤戸竹喜さんは
木彫り熊の名手として知られた父・竹夫さんのもと、
11歳から熊を彫り始め、
現在は阿寒湖畔民芸店「熊の家(くまのや)」とアトリエを構えて活動。
アイヌ民俗の彫りの技を継承しつつも、
生き生きと、おおらかで愛情に満ち、
そして繊細な写実表現で独自の世界を表現されています。
美術館を入ると、いつも真正面に
開催中の展示テーマがバーンとあります。
「現れよ。森羅の生命」
ぴったりのテーマ。
彫造した際に出た木屑がたくさんはめ込まれています。
ああ、良いなぁ。こういうの。
展示は写真撮影可。
下絵もせず、
一本の木から彫り出していきます。
すごいです。
「熊五態」
私、「熊五郎」と空目してしまいました。
夫に「この子、熊五郎って名前なんだね」と言ったら
不思議そうな顔をしていた理由が、
帰宅後、図録を見て判明。
恥ずかしい。
アイヌの人たちは、
鮭を5匹獲ったら2匹は山のカムイ(神様)に献げるそうです。
鮭が5匹(ちゃんと雌雄がいる)なのは
そのあたり?
動きのある構想も面白い。
人物も多く彫られています。
おぶさった子供の寝顔の可愛いこと。
これ、すごい迫力です。
アイヌの祀りごとを実際に目の当たりにしたよう。
木彫りである事を忘れるほどの緻密さ。
脚は動くそうです。
超絶技巧。
鰈が砂に潜っている、砂の表現!
座りこんだ子熊に母熊は何て言ってるのかしら?
想像が広がります。
熊の表情もいろいろ。
楽しい。
以前、道南八雲の木彫り熊に関するエントリーを書きました。
http://okko326.hatenablog.com/entry/2014/08/12/111129
「木彫り熊発祥の地は八雲」という話を聞いた時に、意外な感じを受けました。
「商品」としての木彫り熊が作り始められたのは、確かに八雲からのようですが、
アイヌの人たちにとって熊との関係性は密接で、徳川のお殿様が商品化させる以前から、やはり彫られていたのです。
一方の情報を鵜呑みにしてしまった自分の無知加減を恥じます。
ネイティヴピープルの歴史をもっと識りたい、感じたいと思いました。
きょうのええもん。
ミュージアムショップで2点購入。
これは、とっても良い本。
阿寒の大自然の中で藤戸さんの作品を
撮った写真も素晴らしく、
藤戸さんが語るお話しに惹かれます。
糸綴じの装丁も素敵。
ショップを出た所で藤戸さん、ご本人に遭遇。
思わずサインをしていただきました。
宝物!
kumasute 「熊五郎」のマスキングテープ。
もったいなくて使えな〜い!