賢治のやどりぎ、私のヤドリギ
本日の札幌は陽射しはあるものの風が強く少し寒いです。
春も3歩進んで2歩下がる、といった感じです。
前々回のエントリーでヤドリギのことを記しました。
スズ (こみち) (id:suzukokage)さんに「賢治の童話を思い出します」とコメントをいただき、
そうそう、と絵本と文庫本を本棚から取りだし読み返してみました。
全体みずいろのヒンヤリした装丁。
少し見づらいですが雪童子(ゆきわらす)は手にやどりぎの枝を持っています。
(賢治はヤドリギをひらがな表記にしていますので倣います。)
雪童子は雪狼(ゆきおいの)のカシオピイアとアンドロメダに
やどりぎの枝をとってくるよう命じます。
このお話は賢治が生前出版した唯一の作品集「注文の多い料理店」に収録されています。
私が持っている文庫本は2冊とも角川文庫ですが大正13年刊の初版本のまま菊池武雄の挿画が載っています。
「水仙月」は賢治がつくったことばで、1月~4月頃と諸説あります。
私は3月の初め頃とふんでいます。
雪童子のおこした吹雪きで子どもはどうなったのか?
「ちらっとうごいたようでした」とあるから助かったのだわ、良かった、と以前は思っていましたが
今改めて読み返すと「ちらっとうごいたのは」雪童子の希望的心情であって
子どもは冷たくなってしまったのかもしれない、とも読み取れます。
法華経を篤く信仰していた賢治、童話の創作はその信仰心を浸透させるためだったように思います。
子どもの世界に「まことの草の種」を蒔こうと願ったのだと。
賢治、今さらながらにすごいです。
さて、ヤドリギについて。
ヤドリギは他の樹木の枝などに寄生します。
ヨーロッパでは古より魔よけの木とされています。
殊にケルト民族(アイルランド・スコットランド・マン島・ウェールズ・ブルターニュ・コーンウォール)にとっては
「生命」や「再生」を象徴する植物として重要な位置をしめているそうです。
高校生の頃の英語の授業。
「I Saw Mommy Kissing Santa Claus」(ママがサンタにキスをした)の訳詩の中に
I saw mommy kssing Santa Claus. Underneath the mistletoe last nigihit.
「ゆうべ、ヤドリギの下でママがサンタにキスをしたのを見たわ♡」というのがあり
(なんじゃい?)と思ったのがヤドリギについて意識するきっかけになりました。
それまで前出の賢治の作品で読んでいても実際にどんなものか実感がありませんでした。
その後映画などでもよく見かけるクリスマスのシーンであったり、
30年ほど前オランダに1か月半ダンス公演で滞在した時には
実際に大きな樹にヤドリギって(寄生)いるのを見つけたりしました。
レンジャクやヤドリギツギミに実を食べられ糞やクチバシについた種子が
木の枝に付着して発芽します。
種子がねばねばしているのはくっつきやすくするためなのですね。
種の保存のDNAってすごい。
寿命は30数年で、成長は遅く、まんまるになるまでには10年以上の時間がかかります。
日本各地でもヤドリギは確認できます。
大きな樹をいちどゆっくり眺めてみてください。(でも、足もとは気をつけてね。)
ヤドリギを発見すると幸せな気分になります。
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ヤドリギに少しでも興味を持たれたかた。
発見したら→ブログで報告!発見しなくても→全然OK!
きょうのええもん。
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道産バターをふんだんに使ったマドレーヌ「大平原」のめんこい版。
キャラメル風味のルイボスティで。
↓甚だしくシーズン外れですが、幼い頃のマイケルの声が可愛すぎます。