■温新知古 森見→太宰
「やられた。」
読了の感想がそんな感じです。
『奇想と微笑』森見登美彦*編 光文社文庫
森見氏による太宰治のアンソロジーです。
太宰治、中学生の頃、国語の教科書で「走れメロス」を読んでも
なんだかピンときませんでした。
その頃から本好きではあったけれど、
「太宰を読む」という行為そのものが
「ぶってる」感じがして敢て手をださなかった気がします。
(多感なお年頃)
森見氏が選んだ太宰作品。
「ヘンテコであること」「愉快であること」に主眼を置いて
選ばれています。
ほんと、やられました。
読んでいて、
「これ、太宰風に森見氏が書いてんじゃないの?」ぐらい
思いました。
(氏の「新訳 走れメロス 他四篇」(祥伝社)がたいそう面白かったし)
特に「カチカチ山」。
確か読んではいたけれどこんなだったっけ?
とにかく、面白いです。
狸のだめだめっぷり全開です。
太宰治がこんなに面白かったなんて!
編集後記で
「ーーしかし、私のほかにも、「『走れメロス』なんて」と思っていた人もいるはずである。「太宰治なんて、『走れメロス』と『生まれてきてすいません』の人でしょ?」というような読者が、ちょっと違う目で「走れメロス」と太宰を見るきっかけになれば、それだけでこの本が存在する意味がある。」
と結んでいます。
はい。まんまとハマりました。
知らないまま過ごさずにすみました。
ありがとうございます。
読みます。他の太宰作品も。
面白きことは良きことなり!
そして先日、
『烏丸ルヴォワール』円居挽 講談社文庫
私の敬愛する円居挽先生のルヴォワールシリーズ第2弾の
文庫が発売されました。
やはり帯の文句は「大人になるのはまた明日」。
ああ、キュンとする。