■問題の香り② レイコさんのこと
「問題の香りの続きは?」とコメントをいただきました。
http://okko326.hatenablog.com/entry/2013/08/30/165827
1週間はてなを離れていたので
upしたいものが、わきわきわきっと湧いてきてしまい
後回しにしていました。テヘっ。(←(-"- )イラリ)
私が入院した病室があるフロアには6部屋あって
首から上に問題のある人たちで占めています。
寝たきりのかたや車椅子のかたもいました。
だいたいが高齢者です。
何だか自分も仲間入りしちゃった感が満載で
それでなくても具合が悪くて入院しているのだから
ネガティブな気持ちになります。
お気に入りのボディローションが思わぬ騒ぎになって
シュンとしていたところに
いつも徘徊をして看護師さんを慌てさせている
レイコさん(仮名)がフラッと私のいる病室へ入ってきました。
レイコさんは「いい香りね~」とにこにこして言うと
ベッドに腰掛けていた私の横に座り
手を差し出しました。
お歳を召しているのに
指はまっすぐで綺麗な手をされています。
思わず、問題の香りのボトルを差し出し
「塗りますか?」と聞きました。
レイコさん、こくりと頷きます。
少量を手に取りレイコさんの左手を
両手でそっと包みました。
「いい香りね~」
しばらくご自分の左手をくんくんした後
入って来た時と同じように何事も無かったように
フラッと病室から出て行きました。
(レイコさん、「におい」と言わずに「かおり」と言ったよね。)
涙が溢れました。
レイコさんのバックグラウンドは何も知り得ません。
でも、生きてきた想いや記憶がしっかりあるのです。
何故、涙が溢れたのか。
私の年老いた母への想い、
自分がこれから年老いていくこと、
いろんな想いが束になって私の琴線に触れたのでしょう。
手をくんくんしていたレイコさんの目は
少女のようでした。
香りの好き嫌いは個人差が激しいことは理解しています。
病院によってはお見舞いの生花も断るほど
「香り」はある意味禁忌です。
でも、でも!
こんなにアロマセラピーの効果が判明している昨今、
ケミカルのみではなく、何か応用できないものでしょうか。
また、そこに着目してくれる病院関係者はいないのでしょうか。
入院パジャマも然り。
あんなベージュだか薄茶色だか分からない色褪せたものではなく
元気な色を着させて欲しい!
病人だから病人らしくって悲しい。
退院する時にレイコさんの病室を覗いたら
レイコさん、寝てました。
さよなら。
ありがとう。