眩 くらら 葛飾応為の生涯 そして国芳 江戸好きはとまらない
『眩 くらら』朝井まかて 新潮社
親父どの(北斎)との創作生活から自身の画を模索し
「江戸のレンブラント」と称される『吉原格子先之図』を描くまでの
葛飾応為の物語です。
もう3か月前に読了していたので
この記事を書くにあたって再度読み返しました。
やはり同じところで泣いてしまいました。
奇しくも読み返していた時に
「オランダの博物館所蔵の絵画が北斎が描いた可能性が高い」とニュースがありました。
本作の中にもシーボルトからの依頼で北斎は西画(西洋画)を描きあげています。
このリンク加減、フィクションの世界であっても骨組みは史実に基づいているところが
読者の気持ちをくすぐります。
お話の中で応為はその中の数枚を親父どのから託されます。
「何が違うかっていやあ、遠近と陰影だ。まあ、真の景に近い。
異人らにとっては、目の前の物を正しく書き写したものが絵だ」
という親父どのの言葉が伏線のごとく応為の心にのしかかります。
それは後々、応為の作品に影響していきます。
プロローグとエピローグに「親父どのの筆」を絡めるあたり、唸りものです。
骨に肉を付けるかのようにお話を構築していく作家の仕事ってすごいです。
実際の画の画像を見ると何だか空が広々とし過ぎて
西洋画であるようなそうでないような。
不思議な画です。
どのくらいの位置から描いているの?って感じです。
(まぁ、北斎はデフォルメに近い遠近感を持った人だし。)
来月には『すみだ北斎美術館』もオープン。
応為が親父どのと暮らした部屋が常設になるそうです。
ぜひとも行かねば。
そしてこちらは文庫本。
これも3か月前『眩』の読了後すぐに読んだもの。通勤時の友です。
猫大好き国芳が怪事件を紐解く。
こちらも文句なく面白い。
そして晩年の応為が登場したりと、もう江戸にワープしたい!
帯に「8匹の猫と7つの怪事件」とあるように
すべて猫がらみ。
猫好きとしてもたまらない。
さらに漫画3作。
出版を心待ちしておりました。
すっごくうれしい。
薬商「志摩屋」三代目若旦那福太郎。
愛すべき三代目です。粋に身上つぶす努めを怠りません。
日向子先生の描くお江戸は活き活きしています。
『江戸のたまもの』『自撰 人情幕ノ内』昌原光一 小学館
「晴れの日もありゃ 雨の日もある。困った時ぁ、誰かが傘を差してくれるもんさ。」
江戸の市井の人々が引き起こす悲喜こもごも。
人情味溢れる短編集。気持ちがほっこり。
お江戸ラヴ。
【関連過去記事】
■応為・ジョ二・ボブ・レンブラント 東京記④ - ひぐらしPCに向かいて
百日紅 Miss HOKUSAI - ひぐらしPCに向かいて
冬になる。10月きもの会
朝粥始めました その後
そうだ 京都へ、行ったのだった。京都2016
少し時間があきましたが9月の東京行きの続きです。
体調絶不調のなか無事に顔合わせ会食会も終了し一段落。
新幹線で京都へ向かいます。
新幹線に乗るのは何年ぶりでしょう。
やはり陸続きは良いな。
東京に住んでいたら、2か月に1度は京都に行っていそう。
鉄旅のお供は駅弁。
迷わず崎陽軒のお弁当。
私は大好きなチャーハン弁当。うまいのぉ。
安定の美味さ。
今回は我々は品川乗車でした。
新幹線ホームには「そうだ 京都は、今だ。」のポスターが目をひきます。
「そうだ 京都、行こう。」の新シリーズ展開だそうですがインパクトがいまいち。
「今」しか味わえない特別な価値~とありますが
いつ行っても特別な価値が味わえる京都。
「そうだ 京都、行こう。」のキャッチコピーの秀逸さには及ばない感があります。
この日は台風の影響で雲が重く垂れこみ、富士山を見ることはできませんでした。
強い風邪薬服用で変に気分がハイ状態。
寝る暇もなくあっと言う間に京都へ到着。
京都タワーは相変わらず。
ペンギンたちがお出迎えです。(逆光失礼)
まずは、細見美術館へ直行です。
この日(9/4)まで開催された「伊藤若冲ー京に生きた画家ー」へGO!
日曜日だし最終日だったので並ぶのを覚悟していましたが
拍子抜けするくらいの進み具合でした。
細見美術館の入口に「動植綵絵の展示はありません」と大きく貼り紙が。
えー!?「動植綵絵」の展示があると思って来る人がいるの?
それは勉強しなさすぎでしょう。
宮内庁三の丸尚蔵館収蔵の「動植綵絵」はそうそうには観られないのですYO。
4月の東京都美術館で観ることができたのは本当に幸せなことでした。
若冲展 東京行その2 私の若冲 【追記あり(5/15)】 - ひぐらしPCに向かいて
細見美術館所蔵の画を中心に、東京でも観た画が数点。
ひとり「ふっふ…」と余裕の笑みを浮かべながら観覧いたしました。
それにしても、暑い。京都暑い。(9月初旬です)
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